サッカーが変わる脱力トレーニング9選|動きが軽くなる本質

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「足を速くしたいなら、肩甲骨を見直してみませんか?」

サッカー選手に「速く走るために必要なことは何ですか?」と質問すると、多くの選手は脚力や股関節、体幹トレーニングと答えるでしょう。

確かに、それらはスプリント能力を高めるうえで欠かせない要素です。

しかし、実際に速く走る選手の動きを観察すると、ある共通点があります。

それは肩甲骨が自由に動いていることです。

トップスピードで走る選手ほど、腕を大きく振り、上半身がしなやかに連動しています。

一方で、思うように加速できない選手や、走るとすぐに疲れてしまう選手は、肩や首に力が入り、肩甲骨の動きが小さくなっていることが少なくありません。

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左:肩をすくめて腕振りが小さい中高生男子サッカー選手。右:肩甲骨から大きく腕を振りながらスプリントする中高生男子サッカー選手。

実は、走るという動作は脚だけで行われているわけではありません。

足裏で地面を押した力は、足首、膝、股関節を通り、骨盤、体幹、肩甲骨へと伝わります。

そして肩甲骨の動きが腕振りとなって現れ、再び次の一歩を生み出します。

つまりスプリントとは、

足裏→ 股関節→ 骨盤→ 体幹→ 肩甲骨→ 腕振り

という全身の運動連鎖によって成立しているのです。

そのため、脚ばかり鍛えていても肩甲骨が固まっていれば、せっかく生み出した力を効率よく前方へ伝えることはできません。

反対に肩甲骨が自由に動けば、体全体が連動し、少ない力でもスムーズに加速できるようになります。

これはサッカーにおけるスプリントだけではありません。

切り返し、方向転換、インターセプト、ドリブル突破、守備対応など、多くのプレーで共通する身体の使い方です。

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中高生男子サッカー選手の横向きスプリント姿勢

これまで私は「股関節を解き放つ」「骨で立つ」「体幹を固めない」といったテーマでスポーツパフォーマンス理論を発信してきました。

その中で共通している考え方は、筋肉で無理に動かすのではなく、身体全体をつなげて動くことです。

今回のテーマである肩甲骨も、そのつながりを作る重要な存在です。

このページでは、なぜ腕振りがスプリントに重要なのか、肩甲骨と走りにはどのような関係があるのか、そして股関節との連動や運動連鎖の仕組みについて詳しく解説していきます。

速く走りたいサッカー選手や、動きのキレを高めたい選手は、ぜひ最後まで読んでみてください。

肩甲骨の見方が変わることで、あなたのスプリントも大きく変わるかもしれません。

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こんにちは!フィジカルコーチ秋山拓実です

脚だけでは、速くなれない!?肩甲骨・体幹・股関節がつながった瞬間、スプリントは一気に変わる。

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サッカー選手のスプリントというと、多くの人は脚の動きに注目します。

しかし実際には、速く走る選手ほど上半身を上手に使っています。

特に重要なのが「腕振り」です。

腕振りは単なるバランス動作ではなく、全身の動きをつなぎ、推進力を生み出す役割を持っています。

逆に腕振りが小さい選手は、脚だけで走ろうとしてしまい、加速や切り返しで力をうまく伝えられません。

この章では、なぜ腕振りがスプリント能力に大きな影響を与えるのかを詳しく解説していきます。

腕振りは「バランス」だけではない

「腕振りは体のバランスを取るためにある」

そのように説明されることがあります。

もちろん間違いではありません。

しかし、実際のスプリントにおける腕振りの役割は、それだけではありません。

人が走るとき、脚だけを大きく動かすと体は左右へ回転しようとします。

その回転を制御するために、反対側の腕が自然に振られています。

たとえば右脚が前へ出るとき、左腕が前へ出る。

左脚が前へ出るとき、右腕が前へ出る。

この対角線の動きによって、体は前方へ効率よく進めるようになります。

つまり腕振りは、脚の動きを打ち消しているのではなく、全身を前へ進めるために必要な「連動動作」なのです。

特にサッカーでは、短い距離で爆発的に加速する場面が多くあります。

ディフェンスラインの裏へ抜け出す瞬間。

相手より一歩早く反応する瞬間。

カウンター時の加速。

これらの動作では、脚だけではなく上半身の動きが非常に重要になります。

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中高生男子サッカー選手のスプリント比較。左:腕をほとんど振らず脚だけで走る選手。右:肩甲骨から大きく腕を振り、全身が連動している選手。

腕振りが小さい選手は、脚だけで地面を押そうとします。

その結果、接地時間が長くなり、加速のテンポが悪くなります。

一方で、腕振りが自然に大きい選手は、全身のリズムが生まれ、少ない力でもスムーズに前進できます。

これは「腕の筋力」が強いからではありません。

肩甲骨から自然に動いていることが重要なのです。

肩甲骨が動くことで脚も動きやすくなる

腕振りを生み出しているのは、肩や腕だけではありません。

本当に重要なのは「肩甲骨」です。

肩甲骨は肋骨の上を滑るように動く特殊な骨であり、前後・上下・回旋など、多方向へ自由に動くことができます。

この自由度の高さがあるからこそ、人は大きく腕を振ることができます。

しかし、肩や首に力が入ると肩甲骨は固まり、動きが小さくなります。

すると腕振りも小さくなり、結果として脚の動きまで制限されてしまいます。

実際にスプリントが苦手な選手を見ると、以下の3つの特徴が見られることがある。

・肩をすくめている

・肘が後ろへ引けない

・上半身が固まっている

反対に速い選手ほど、肩甲骨がリズミカルに動き、肘が自然に後方へ引かれています。

この動きによって骨盤も回旋し、股関節が動きやすくなります。

つまり肩甲骨は、上半身だけでなく下半身の動きにも影響を与えているのです。

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左:肩をすくめて肩甲骨が固まり、肘が後ろへ引けない中高生男子サッカー選手。右:肩甲骨が大きく動き、肘を後方へ引きながらスプリントする選手。

サッカーでは「脚を速く動かそう」と意識し過ぎる選手が多くいます。

しかし実際には、

肩甲骨が動く ↓

骨盤が回旋する↓

股関節が動く ↓

脚が前へ出る

という流れでスプリントが起こっています。

そのため、脚だけを鍛えても上半身が固まっていれば、本来のスピードは発揮しにくくなるのです。

スプリントは「全身のリズム」で走っている

速く走る選手を見ていると、力強いのにどこか軽く見えることがあります。

それは全身が連動し、「リズム」で走れているからです。

逆に力みが強い選手は、一歩一歩を筋力で無理に押し出そうとします。

その結果、接地時間が長くなり、加速の流れが止まりやすくなります。

特にサッカーでは、トップスピードだけでなく以下の4つを繰り返します。

・減速

・切り返し

・方向転換

・再加速

そのため、全身がスムーズにつながることが非常に重要になります。

腕振りが良くなると、体幹や骨盤の回旋が自然に起こり、走り全体のリズムが整います。

これは以前から発信している「重心を止めない」という考え方にもつながります。

速い選手ほど、止まってから動くのではなく、流れの中で加速しています。

そして、その流れを作る重要な役割を担っているのが肩甲骨なのです。

スプリントを変えたい選手は、脚だけではなく、まずは肩甲骨が自由に動いているかを見直してみてください。

上半身が変わることで、走りの感覚は大きく変わるはずです。

肩甲骨は、単に腕を動かすための骨ではありません。

スプリント中には体幹や骨盤と連動しながら、全身のリズムや推進力を支える重要な役割を担っています。

特にサッカーでは、短距離の加速や切り返しを繰り返すため、肩甲骨の動きがパフォーマンスへ大きく影響します。

しかし、肩や首に力が入り過ぎると肩甲骨の自由が失われ、走り全体が重くなります。

この章では、肩甲骨がどのように走りへ関係しているのかを詳しく解説していきます。

肩甲骨は「浮いている骨」である

肩甲骨は、人間の体の中でも非常に特殊な骨です。

一般的な骨は関節でしっかり接続されています。

しかし肩甲骨は、肋骨の上に“浮く”ように存在しており、筋肉によって支えられています。

そのため、以下の4つのように多方向へ自由に動くことができます

・前後

・上下

・内外

・回旋

この自由度の高さが、人間特有の大きな腕振りを可能にしています。

スプリント中、肩甲骨は単独で動いているわけではありません。

肩甲骨が後方へ動けば、胸郭が回旋し、体幹が連動し、骨盤まで影響を受けます。

つまり肩甲骨は、

「上半身と下半身をつなぐ中継地点」

のような役割を持っているのです。

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人体背面図。肩甲骨が肋骨の上を滑るように動いている様子を表現。

速い選手ほど、この肩甲骨の動きが自然で滑らかです。

逆に動きが硬い選手は、肩甲骨が“背中に張り付いた”ようになっています。

すると腕振りが小さくなり、全身の連動が失われます。

これは単純に「肩が硬い」という問題ではありません。

肩甲骨の自由が失われることで、体全体の運動連鎖が止まってしまうのです。

肩甲骨が固まるとスプリントは重くなる

サッカー選手の中には、

「速く走ろう」「力強く踏み込もう」

と意識し過ぎるあまり、肩や首に力が入ってしまう選手がいます。

すると肩甲骨の動きが小さくなり、上半身全体が固まります。

特に多いのが、以下の4つの状態です。

・肩をすくめる

・胸を張り過ぎる

・肘を後ろへ引けない

・腕を力任せに振る

この状態では肩甲骨がスムーズに動けず、走りのリズムが失われます。

その結果、これらの問題が起こります。

・接地時間が長くなる

・ピッチが落ちる

・ストライドが伸びない

・疲れやすくなる

サッカーでは90分間、加速と減速を繰り返します。

そのため、必要以上に力んだ走り方はエネルギーロスにつながります。

反対に肩甲骨が自由に動く選手は、必要な瞬間だけ力を使い、それ以外では自然に脱力できます。

この「力み過ぎない状態」が、スプリントの軽さや連続した動きにつながるのです。

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左:肩をすくめ、首に力が入り、全身が硬くなった中高生男子サッカー選手のスプリント。右:肩甲骨が自然に動き、脱力した状態で軽やかに走る選手。

これは以前から発信している「脱力の科学」にもつながります。

ただ力を抜くのではなく、

“必要な場所だけ使い、不要な力みを減らす”

その状態を作るうえで、肩甲骨の自由な動きは非常に重要なのです。

サッカーの動きは肩甲骨から変わる

肩甲骨の動きが重要なのは、スプリントだけではありません。

サッカーでは、以下5つ複雑な方向転換が繰り返されます。

・切り返し

・ターン

・インターセプト

・ドリブル突破

・守備対応

その際、上半身が固まっている選手は、重心移動が遅れます。

一方で肩甲骨が自由に動く選手は、体幹や骨盤がスムーズに回旋し、次の動作へ素早く移行できます。

つまり肩甲骨は、

「次の動きを作る準備」

にも関わっているのです。

特にサッカーでは、止まってから動くのではなく、流れの中で方向を変える能力が重要になります。

これは以前から発信している

「重心を止めない」

という考え方にもつながります。

肩甲骨が動けば、上半身の回旋が起こる。

上半身が回旋すれば、骨盤が動く。

骨盤が動けば、股関節が使いやすくなる。

そして、次の一歩が自然に出やすくなる。

この連動が、サッカー特有の加速や切り返しを支えているのです。

速く走るために脚だけを見るのではなく、まずは肩甲骨が自由に動いているか。

そこを見直すことで、スプリントやプレー全体の質は大きく変わっていきます。

人が歩いたり走ったりするとき、右腕と左脚、左腕と右脚が交互に動いています。

この「対角線運動」は、単なる偶然ではありません。

肩甲骨と股関節は体幹を介してつながっており、互いの動きを引き出しながら全身を前へ進めています。

サッカーのスプリントや切り返しでも、この対角線の連動がスムーズな選手ほど加速が速く、動きにもキレがあります。

この章では、肩甲骨と股関節がどのようにつながり、スプリントへ影響しているのかを詳しく解説していきます。

人は「対角線」で動くようにできている

歩行や走行では、右脚が前へ出るとき、左腕が前へ出る。

左脚が前へ出るとき、右腕が前へ出る。

という動きが自然に起こっています。

これは「クロスクロール」と呼ばれる、人間特有の基本的な運動パターンです。

もし脚と同じ側の腕を同時に前へ出して走ろうとすると、体は大きく左右へ揺れ、前へ進みにくくなります。

対角線で動くことで、回転エネルギーを打ち消しながら、効率よく前進できるのです。

このとき重要になるのが、

肩甲骨↓

体幹 ↓

骨盤 ↓

股関節

という“斜めのつながり”です。

肩甲骨が後方へ動けば、反対側の骨盤が自然に前へ回旋し、股関節も動きやすくなります。

つまり、肩甲骨と股関節は別々に動いているのではなく、常に連動しているのです。

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中高生男子サッカー選手の正面図。右腕と左脚、左腕と右脚が対角線で連動している様子。

サッカーでは、この対角線連動が特に重要になります。

短距離スプリント。

切り返し。

ターン。

守備の寄せ。

こうした動作では、一瞬で重心を移動しながら全身を連動させる必要があります。

そのため、肩甲骨と股関節がうまく連動していない選手は、動き出しが遅れたり、加速時にブレーキがかかりやすくなります。

肩甲骨が動けば股関節も動きやすくなる

「股関節を柔らかくしたい」そう考える選手は多いでしょう。

しかし実際には、股関節だけを動かしても、本来の動きは引き出しにくいことがあります。

なぜなら股関節は、骨盤や体幹、肩甲骨の影響を強く受けているからです。

たとえば肩甲骨が自由に動くと、胸郭が回旋します。

胸郭が回旋すると体幹がねじれ、その流れが骨盤へ伝わります。

すると骨盤も自然に回旋し、股関節が動きやすくなります。

逆に肩甲骨が固まると、胸郭や骨盤の動きも小さくなり、結果として股関節の可動域まで制限されてしまいます。

つまり、

「股関節が硬い」

と思っている選手でも、原因は肩甲骨や上半身にある場合があるのです。

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左:肩甲骨が固まり、骨盤と股関節の動きが小さい中高生男子サッカー選手。右:肩甲骨が大きく動き、骨盤回旋と股関節可動域が広がっている選手。

これはサッカーのスプリントにも直結します。

速い選手ほど、股関節だけで脚を動かしているのではなく、肩甲骨から全身を連動させています。

その結果、以下の3つの状態が起こります。

・脚が自然に前へ出る

・接地がスムーズになる

・加速のリズムが生まれる

反対に、上半身が固まった状態では、脚だけで無理に走ろうとするため、動きが重くなってしまいます。

サッカーの切り返しは「対角線連動」で変わる

サッカーでは、真っ直ぐ走るだけではありません。

むしろ重要なのは、以下の3つを繰り返す能力です。

・減速

・方向転換

・再加速

このとき、対角線連動がうまく使えている選手ほど、重心移動がスムーズになります。

たとえば右方向へ切り返す場面では、左肩甲骨の動きが骨盤回旋を引き出し、右脚での加速をサポートします。

つまり切り返しとは、

「脚だけの動き」

ではなく、

「肩甲骨から始まる全身運動」

なのです。

これは以前から発信している、

「重心を止めない」

という考え方とも深くつながります。

速い選手は、一度止まってから動くのではありません。

肩甲骨と股関節を連動させながら、流れるように重心を移動しています。

その結果、以下の4つか含まれます。

・切り返しが速い

・次の一歩が早い

・加速が滑らか

・プレーにキレが出る

サッカーでは脚力だけで差がつくわけではありません。

肩甲骨と股関節の対角線連動を高めることが、スプリントや切り返しの質を大きく変えていくのです。

スプリントというと、「脚で地面を強く蹴る動作」をイメージする人が多いかもしれません。

しかし実際には、速く走る選手ほど脚だけではなく全身を連動させています。

足裏で生み出した力は、股関節や骨盤、体幹、肩甲骨を通って全身へ伝わり、次の一歩へつながっています。

この流れを“運動連鎖”と呼びます。

サッカーでは加速・減速・方向転換を繰り返すため、部分的な筋力だけではなく、全身のつながりが非常に重要になります。

では、スプリント中に起こっている運動連鎖について詳しく解説していきます。

地面反力は全身へ伝わっている

スプリントのスタートは「脚」ではなく、「地面との接地」から始まります。

足裏で地面を押すことで、地面から反発する力が返ってきます。

これが「地面反力」です。

この力は、

足裏 ↓

足首 ↓

膝  ↓

股関節↓

骨盤 ↓

体幹 ↓

肩甲骨↓

という順番で全身へ伝わります。

つまりスプリントとは、脚だけで地面を蹴っているのではなく、

「地面から返ってきた力を全身で運んでいる」

動作なのです。

速い選手ほど、この力の流れが止まりません。

反対に動きが重い選手は、途中でどこかが固まり、力の伝達が途切れています。

特に多いのが以下の3つです。

・肩や首の力み

・体幹の固め過ぎ

・骨盤の動きの少なさ

これらが起こると、せっかく足裏で生み出した力が上半身まで伝わらず、推進力が逃げてしまいます。

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足裏→足首→膝→股関節→骨盤→体幹→肩甲骨→腕へと赤い矢印で力が流れている様子。

サッカーでは短い距離の加速が多いため、この運動連鎖が特に重要になります。

一歩目で生み出した力を全身へ素早く伝えられる選手ほど、爆発的なスタートが可能になるのです。

力みは「ブレーキ」になる

「もっと速く走りたい」そう思うほど、人は力を入れ過ぎてしまいます。

しかし、スプリントでは“力むこと”が逆にブレーキになる場合があります。

特に起こりやすいのが、

・肩をすくめる

・首へ力が入る

・胸を張り過ぎる

・腕を強引に振る

といった状態です。

これらは肩甲骨や胸郭の動きを制限し、全身の運動連鎖を止めてしまいます。

その結果

・接地時間が長くなる

・脚が前へ出にくい

・上半身が上下にブレる

・加速が途切れる

といった問題が起こります。

速い選手ほど、全力で走っているように見えて、実際には必要以上に力んでいません。

特にトップスプリンターを見ると、顔や肩周辺は驚くほどリラックスしています。

これは「サボっている」のではなく、全身の連動を邪魔しないためです。

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左:肩をすくめ、首や上半身に力が入り、ブレーキがかかったように走る中高生男子サッカー選手。右:肩甲骨が自然に動き、脱力しながら加速する選手。

以前から発信している「脱力の科学」でも共通していますが、

脱力とは“力を抜くこと”ではありません。

必要な場所だけ使い、不要な力みを減らすことです。

その状態が作れると、地面反力がスムーズに全身へ伝わり、走りに軽さが生まれます。

スプリントは「波」のようにつながっている

速い選手の動きを見ると、どこか“流れるよう”に見えることがあります。

それは全身がバラバラではなく、波のようにつながっているからです。

足裏で生み出した力が、

股関節へ伝わる↓

骨盤が回旋する↓

体幹が連動する↓

肩甲骨が動く ↓

腕振りが起こる。

そして次の接地へつながる。

この流れが止まらず循環しているのです。

反対に、部分的に頑張ろうとする選手は、動きが途切れやすくなります。

たとえば、

「脚を速く動かそう」

と意識し過ぎると、上半身が固まり、重心移動が遅れます。

すると、一歩ごとに“止まってから動く”状態になり、加速がスムーズにつながりません。

これはサッカーの切り返しでも同じです。

速い選手ほど、止まるのではなく、

“流れの中で方向を変えている”

のです。

そのためには、肩甲骨・体幹・骨盤・股関節が一つのユニットとして動く必要があります。

スプリント能力を高めるうえで重要なのは、単純な筋力だけではありません。

全身がどれだけ自然につながり、地面反力を運べるか。

そこに、スピードの本質が隠されているのです。

肩甲骨と股関節の連動は、知識だけで身につくものではありません。

実際に体を動かしながら、「上半身と下半身がつながる感覚」を習得することが重要です。

特にサッカーでは、スプリントや切り返しの中で自然に全身が連動する必要があります。

そのためには、肩甲骨の可動性を高めるだけでなく、体幹や骨盤、股関節とのつながりを作る段階的なトレーニングが効果的です。

この章では、肩甲骨と股関節をつなぐための実践トレーニング9種目を紹介していきます。

可動性を高める3種目

まずは肩甲骨と胸郭の動きを引き出し、上半身が固まり過ぎている状態を改善していきます。

肩甲骨スライド

壁に手をつきながら肩甲骨を上下へ滑らせるように動かします。

重要なのは肩ではなく、背中側が動いている感覚を持つことです。

キャット&ドッグ

四つ這い姿勢から背骨を丸めたり反らしたりします。

この動きによって胸郭や肩甲骨、骨盤の連動が生まれます。

四つ這いリーチ

片腕を前へ伸ばしながら反対側の脚を後方へ伸ばします。

ここでは肩甲骨と股関節を対角線でつなぐ感覚を意識します。

これらの種目は、一見すると地味に見えるかもしれません。

しかし、肩甲骨が動かない状態でスプリント練習をしても、上半身の力みが抜けず、脚だけで走るクセが強くなります。

まずは「動くべき場所が動く状態」を作ることが大切です。

これは以前から発信している、

「可動域ではなく操作力を高める」

という考え方にもつながります。

ただ柔らかいだけではなく、自分でコントロールしながら動かせることが重要なのです。

対角線連動を身につける3種目

次に行うのは、肩甲骨と股関節を“対角線”でつなげるトレーニングです。

クロス クロール マーチ

右腕と左脚、左腕と右脚を連動させながら歩行動作を行います。

この動きによって、人間本来のクロスモーションを再学習できます。

ベア クロール

四つ這い姿勢のまま前進します。

肩甲骨と骨盤が交互に連動し、体幹を通じた全身運動が強化されます。

Aマーチ

スプリント姿勢を意識しながら膝を引き上げ、反対側の腕を大きく振ります。

このとき重要なのは、脚を上げることではなく、肩甲骨から全身が連動している感覚です。

サッカーでは、

「脚を速く動かそう」

と考える選手が多くいます。

しかし実際には、肩甲骨と骨盤が連動することで、脚は自然に前へ出ています。

つまり脚だけを頑張るのではなく、

“全身のリズム”

を作ることが重要なのです。

この段階で大切なのは、「力強さ」よりも「滑らかさ」です。

特に肩や首へ力が入ってしまう選手は、動きを小さくしてでも脱力を優先してください。

対角線の流れが生まれることで、スプリント時の重心移動がスムーズになっていきます。

スプリントへ統合する3種目

最後は、実際の走りへ連動を統合していきます。

スキップ ドリル

地面反力を受けながら、肩甲骨と股関節のリズムを高めます。

脚だけで跳ぶのではなく、腕振りと連動させることが重要です。

ウォール スタート

壁へ体を預けながら前傾姿勢を作ります。

このとき、肩甲骨から骨盤までが一直線につながる感覚を意識します。

15m スプリント

これまで作ってきた連動を実際の加速動作へつなげます。

ここで重要なのは「全力で走ること」ではありません。

肩甲骨→ 体幹→ 骨盤→ 股関節→ 足裏

という流れが止まらず伝わっているかを確認することです。

速く走る選手ほど、脚だけで頑張っていません。

地面反力を全身で受け取り、波のように力を伝えています。

そして、その流れをつないでいる重要な存在が肩甲骨です。

今回紹介した9つのトレーニングは、単なるウォーミングアップではありません。

肩甲骨と股関節の連動を高め、

「止まらず加速できる身体」

を作るための土台になります。

ぜひ段階的に取り組みながら、スプリントの変化を体感してみてください。

サッカーが速い選手は脚だけを使って走っているわけではありません。

肩甲骨から始まる腕振りが体幹や股関節と連動し、全身の力を効率よく前方へ伝えています。

肩甲骨が自由に動けば走りのリズムは整い、加速や切り返しの質も向上します。

まずは肩甲骨と股関節のつながりを意識しながら実践トレーニングに取り組んでみてください。

上半身の使い方を変えることが、スプリントを変える大きなきっかけになるはずです。

フィジカルコーチ<br>秋山拓実<br><a rel="noreferrer noopener" href="https://funfunfitness.jp/profile/" data-type="page" data-id="88" target="_blank">【Profile】</a>
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