「姿勢を正そう」として、うまくいかなかった理由
猫背や反り腰を指摘された経験がある人は、決して少なくありません。
鏡を見るたびに気になり、
「姿勢を正さなきゃ」
「体幹を鍛えなきゃ」
そう思って、腹筋やプランクを頑張ってきた人も多いはずです。
実際、
姿勢改善=体幹トレーニング
という考え方は、世の中に広く浸透しています。
しかし、現場で多くの選手や一般の方を見てきて、
私はずっと違和感を感じていました。
体幹を鍛えているのに、
・姿勢が変わらない
・むしろ動きが硬くなる
・腰や股関節に違和感が出る
こうしたケースが、あまりにも多かったのです。
その理由はシンプルです。
姿勢は「止まった形」ではなく、「動きの結果」だからです。

このページでは、
なぜ猫背や反り腰が起きるのか。
なぜ「体幹を鍛える」だけでは解決しないのか。
そして、なぜ股関節の自由度が姿勢とサッカーの動作を根本から変えるのか。
その考え方を、
私自身の失敗談と、サッカー現場の実例を交えながら整理していきます。
サッカー選手の動きを変える「ゆるめる×締める」の使い方👇
https://youtu.be/aMASWM-B92I

猫背や反り腰の原因は「体幹」ではなく「骨盤の使い方」にある
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猫背・反り腰は「体幹が弱い」から起きているわけではない

猫背や反り腰について語られるとき、よくこんな説明がされます。
・腹筋が弱い
・背筋が弱い
・体幹が安定していない
確かに、筋力が極端に不足していれば問題は起こります。
しかし現実には、
- プランクは長時間できる
- 腹筋も背筋もトレーニングしている
- それでも姿勢は崩れたまま
こうした人は非常に多いのです。
ここで視点を変える必要があります。
姿勢は、
筋肉の強さの問題ではなく、骨盤の位置と動き方の問題です。
骨盤は、
前に傾けば反り腰になり、
後ろに傾けば猫背になります。
そして多くの場合、
問題は「傾いていること」そのものではありません。
問題なのは、
骨盤がその位置に固定されてしまっていることです。
動けない骨盤は、必ずどこかに無理を生みます。
正しい姿勢は「骨盤を止めること」ではなく「股関節が動けること」から生まれる
骨盤と股関節は、切り離して考えることはできません。

骨盤が土台だとすれば、
股関節はその土台にぶら下がる「自由度」です。
この股関節が、
- 曲がらない
- 伸びない
- 回らない
そんな状態になると、どうなるか。
本来、股関節で処理されるはずの動きが、
腰や背中に逃げていきます。
結果として、
- 腰が反る
- 背中が丸まる
- 姿勢が崩れる
これは「姿勢が悪い」のではなく、動けない体の代償動作なのです。
私自身が「姿勢を正そうとして失敗した話」
ここで、私自身の話をさせてください。
私はもともと、
骨盤が前傾位になりやすく、いわゆる反り腰の癖がありました。
「このままでは良くない」
そう思い、ある時期から
骨盤の傾きに強く注意を払うようになりました。
立つときも、歩くときも、トレーニング中も、
腹部と体幹に力を入れ、
「反らないように」「骨盤を立てるように」
姿勢を固めていったのです。
一見すると、姿勢は整いました。
しかし、その結果どうなったか。
今度は、
仙腸関節まわりに痛みと違和感が出始めました。

私はそのとき、
姿勢を良くしていたのではなく、
骨盤を動かないようにロックしていただけだったのです。
動けない骨盤。
使えない股関節。
その負担が、仙腸関節に集中しました。
この経験から、私ははっきり理解しました。
姿勢とは、
「正しい位置に止めるもの」ではありません。
動ける体の中で、自然と戻ってくる状態です。

ドリブル中の体のブレは「体幹不足」ではなく「股関節と骨盤の問題」
ここで、よくいただく質問に答えます。
ドリブルしている時の体のブレが気になっています。
体幹を太くするには、どんなトレーニングが効果的ですか?
ドリブル中の選手を正面から描写。 体幹が左右にブレている様子を波線で表現
結論から言います。
ドリブル中のブレは、
体幹が細いから起きているわけではありません。
サッカーのドリブルは、
ほぼすべてが「片脚支持」の連続です。

このとき必要なのは、
- 股関節で体重を受け止める
- 骨盤をコントロールする
- 体幹は力を“つなぐ”役割を果たす
という流れです。
体幹を固めすぎると、
動きの中での微調整ができません。
その結果、
・上半身が振られる
・重心が流れる
・「ブレている」ように見える
これは安定していないのではなく、固めすぎて適応できていない状態です。
骨盤と股関節の関係性を体で理解するための6つのエクササイズ
ここからは、
この記事の考え方と直結するエクササイズを紹介します。

これら6種目に共通しているのは、
姿勢を作ろうとしていないことです。
・固めない
・止めない
・動ける余白を残す
この積み重ねが、
姿勢の改善にも、ドリブル中の安定感にもつながります。
① 骨盤前後コントロール
このエクササイズは、「正しい骨盤の位置を覚える」ためのものではありません。
骨盤が前にも後ろにも動ける状態を取り戻すことが目的です。
仰向けで膝を立て、腰の下にできる隙間を感じながら、骨盤を前傾・後傾へゆっくり動かします。重要なのは、腹筋に力を入れて押さえ込まないことです。
反り腰の人ほど「動かさないようにする」癖がありますが、それが問題の本質です。
骨盤が動けるようになると、立位や歩行時にも自然と中間位へ戻りやすくなります。
これは「姿勢を作る」作業ではなく、姿勢が崩れにくくなる土台づくりです。
② 四つ這い股関節ローテーション
このエクササイズは、
「背骨を固めずに、股関節だけを動かす」感覚を養うためのものです。
四つ這い姿勢から、片脚の股関節を内外に回旋させます。
このとき、骨盤や背中が一緒に動いてしまう場合は、股関節が十分に使えていません。
多くの人は、股関節が動かない代わりに腰で回そうとします。
これが反り腰・猫背・腰痛につながる典型的な代償動作です。
このエクササイズを通じて、
「股関節が動くと、腰のポジションを維持できる」という身体感覚を身につけることが重要です。
③ ハーフニーイング・ヒップシフト
片膝立ち姿勢で行うこのエクササイズは、
骨盤と股関節の位置関係を再学習するためのものです。
前後に体重を移動させながら、
股関節で体重を受け止め、骨盤が自然にスライドする感覚を探します。
多くの人は、体重移動の際に
・腰を反らす
・体幹を固める
ことで安定しようとします。
しかし本来、安定は股関節で生まれます。
このエクササイズは、
「骨盤を止めずに、股関節で支える」という感覚を安全に学べる非常に重要な種目です。
④ 片脚スタンス・重心コントロール
サッカーの動作に直結する、非常に重要なエクササイズです。
目的は 「体幹を固めずに、片脚で立てる体を作ること」。
片脚で立ち、重心をわずかに前後左右へ移動させます。
このとき、腹筋を固めたり、胸を張ったりする必要はありません。
安定しようとして体幹を固めると、
微調整ができず、かえって不安定になります。
股関節でバランスを取る感覚が育つと、
ドリブル中の「ブレ」は自然と減っていきます。
これは筋力ではなく、支持の仕方の学習です。
⑤ 片脚ヒップヒンジ
このエクササイズは、
支持脚の股関節で体重を受け止める能力を高めます。
片脚立ちで、背中を丸めずに上体を前傾させます。
重要なのは「腰を反らさない」「体幹を固めない」こと。
反り腰の人ほど、前傾時に腰を反ってしまいます。
それは股関節が十分に折れていないサインです。
この動作が安定すると、
スプリント・ドリブル・切り返しなど、すべての片脚動作の質が向上します。
⑥ ローテーションステップ
このエクササイズでいう「ローテーションステップ」は、
特定のステップ名を指しているわけではありません。
サイドステップでも、前後のステップでも、斜めのステップでも構いません。
重要なのは、
ステップの中で、支持脚側の股関節が回旋を許しながら体重を受け止めているか
という点です。
多くの人は、安定しようとするあまり
骨盤や体幹を固めてステップを行います。
その結果、回旋が止まり、動きは分断されます。
ローテーションステップでは、
足を踏み替える瞬間に
股関節 → 骨盤 → 体幹 → 上半身
が自然につながることを優先します。
体幹は動きを止める場所ではなく、
力が通過する場所。
回旋を含んだ体重移動ができるようになると、
姿勢の安定感やドリブル中のブレは自然と減っていきます。
まとめ|姿勢も安定感も「股関節から始まっている」
猫背や反り腰は、
体幹が弱いから起きているわけではありません。

姿勢は、
骨盤の位置と、股関節の自由度の結果です。
私自身、
姿勢を正そうとして体を固め、
痛みを経験しました。
だからこそ今は、はっきり言えます。
正しい姿勢は、意識して作るものではない。動ける体の中で、自然と生まれるものだ。
ドリブル中のブレも同じです。
体幹を太くする前に、
股関節が自由に使えているか。
その視点を持つだけで、姿勢も、動きも、プレーの質も大きく変わります。

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